使用料アップか 築地仲卸悲鳴 市場豊洲移転に火種新市場移転によって利益が圧迫されると経営が厳しくなる仲卸業者も多いはずです。
東京・築地市場(中央区)の江東区豊洲地区への移転計画が進む中、築地市場内で営業する水産仲卸業者が揺れている。都の諮問機関が五月に提言をまとめ、新市場では業者の負担増が避けられない見通しだ。しかし、経営難にあえぐ業者に余力はなく、移転反対の声は根強い。 (岡村淳司)
「本当は辞めたいんだが、借金があるから辞められねえんだ」。築地市場で約二十年、水産物の仲卸を営む社長はため息交じりに話す。約20年前というとバブル景気前後でしょうか。
当時、銀行から借金して一億八千五百万円で営業権(鑑札)を買った。しかし、事業拡張のため五年前に三店目を買った際は、一千万円にまで値崩れしていた。売り上げもピーク時の三分の一に落ち込んでいる。
とはいえ1億8,500万円は高額な投資です。
関係者によると、使用料や光熱費、ごみ処理などの経費は一店舗で五万円程度。ほかに組合費などがかかる。「新市場では経費が倍くらいになるかも。引っ越しにも新しい機材の導入にも金がかかる。それだけ頑張っても、なじみ客がついてきてくれるか分からない」。社長はあくまで移転に反対する。市場使用料が「倍くらいになるかも」しれない理由とは何でしょうか。
都内十一カ所にある中央卸売市場の使用料は、十一カ所を合わせた費用を全業者で分担している。個々の業者の負担額は店舗面積と売上高で決まる。ところが、新市場では仕組みが変わりそうだ。新設される加工・パッケージ施設の維持管理費を「新市場を使用する業者のみで」負担するということ。
都の諮問機関「市場使用料あり方検討委員会」は「新たな機能を加える市場は、その経費を加味した使用料にする」と提言した。
豊洲新市場は温度管理を徹底した閉鎖型の施設になり、加工・パッケージ施設も新設する。その維持管理費は、新市場を使う業者だけの負担になりそう。
確かにこれでは負担増は避けられませんね。
築地市場で営業する九百七十二業者のうち、七割以上を占める水産仲卸業者。その業界団体「東京魚市場卸協同組合」(東卸)は二月、移転反対から都との協議に応じる姿勢に転換した。しかし、移転の賛否は内部でも割れている。山崎治雄理事長は「使用料の問題は今後の火種になるだろう」と話す。具体的な使用料の増加額が判明すると移転をためらう仲卸業者もでてきそうな気配です。
都は今後、具体的な使用料を協議し、この夏に新市場の詳細設計を完成させる予定だ。理事の一人は「大事なことが決まらないまま、どんどん計画が進んでゆく。本当に混沌(こんとん)とした状況だ」とぼやいた。